忘れたくても忘れられない-『完全記憶能力』を持つ女性


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人間は忘れることによって過去の傷を癒す動物である。完全に忘れることができない記憶があるとしても、全ての記憶を忘れられないということはない。人の記憶というものは薄れゆくものである。ただ、この完全記憶能力を持つという42歳の女性AJ(仮名)を除いては。


AJは今まで覚えた記憶を忘れることができない。例え忘れたいと思う記憶があってもそれさえ自分にはどうすることもできない。彼女の記憶はまるで映画が上映されているかのように頭の中で流れるという。彼女の場合、日付に起きたことさえもに完全に記憶され、それはいつでも引き出しから物を取り出すように思い出すことができる。その場の光景でさえも彼女は表現可能なのである。
カリフォルニア大学の教授であるJames McGaughと彼の同僚が日付についての質問をいくつか彼女に尋ねた。1977年8月16日に何が起こったのかについて質問をすると、彼女はすぐにエルビスプレスリーの命日だと答えた。次に、1978年6月6日について尋ねるとまたもや、カルフォルニアにて「税の制限?住民発案による憲法修正」が可決されたことを即答した、そして最後にその年の5月25日に何があったのかについて尋ねるとシカゴにて飛行機墜落事故があったと答えた。また、Who shot J.R.というテレビ番組を見た日付までも覚えていた。彼女の答えは全て正確で教授達はただただ唖然とするばかりであった。


サヴァン症候群という、この症状によくにた症候群がある。

サヴァン症候群(?しょうこうぐん、savant(仏語で「賢人」の意) syndrome)とは、知的障害や自閉性障害のある者のうち、ごく特定の分野に限って、常人には及びもつかない能力を発揮する者を指す。現在では脳の器質因にその原因を求める論が有力だが、自閉性障害のある者が持つ特異な認知をその原因に求める説もまた有力である。自閉性障害のある者の全てがこのような能力を持っているわけではない。自閉症と同様、男女比は男性が女性の数倍である。広義には、障害にもかかわらずある分野で他の分野より優れた(健常者と比較して並外れているわけではない)能力を持つ人も含めることもある。狭義のサヴァン症候群は極めて少なく全世界で数十名程度しかいないと思われる。

サヴァン症候群(wikipedia)


最初は彼女の場合もこのサヴァン症候群ではないかとされていた。しかし、サヴァン症候群は限定的なのに対して彼女の場合は限定されていない、全ての場合において記憶されてしまう。彼女と似たような能力を持つ男性、Brad Williamsと彼女を照らし合わせ少しその能力の謎が判明してきた。2人は日付についてかなり興味を持ち、AJの場合は32年間日記を書き続けている。また、2人とも昔のテレビガイドを集めているという。これらのことは記憶を保持、補強するのに何らかの役に立っているのではと学者は語る。
さらに研究が進むにつれ、彼女も全ての出来事を暗記しているのかといえばそうではないことも判明した。ある数時間だけ思い出すことが不可能に陥ることが現在わかっている。研究員の服の色、いつ質問したのかといったことが全く思い出せない時間があるという。
彼女を研究しているMcGaugh教授は、
「信じられないことに、彼女の記憶能力はある一定の間は普通の人間と変わらないものだったのです。」
と話す。
彼女の症状については超記憶症候群(hyperthymestic syndrome)と名づけられた。


Total Recall: The woman who can't forget
参考:サヴァン症候群(wikipedia):世論調査にみる納税者意識の動向

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